本日1月19日、衆議院本会議に自民党を代表し質問に立ちました。
私は、自由民主党・改革クラブを代表し、質問いたします。答弁は簡潔に、明快にお願いします。答弁が不明確、不十分である場合には再質問を行うことをあらかじめ申し上げておきます。 はじめに、先般発生したハイチでの大地震により、多くの方々が亡くなられました。ここに哀悼の意を表しますとともに、被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。わが党としても、対策本部を立ち上げ、ハイチ大使館にお見舞いを申し上げるとともに、政府に対し、わが国としても救援、復旧等に全力で取り組まれるよう、申し入れを行ったところであります。
■自由と民主主義~政治倫理綱領
われわれ自由民主党は、自由と民主主義を基本理念といたしております。米国の著名な政治学者ジョン・H・ハロウェルは著書で、「真の自由は善についての理解と、それを知ったとき、善を選ぶ意思との両方を必要としている」、また民主主義は「道徳律に従うという普遍的義務の存在にもとづいている」と述べています。このことは、われわれが昭和60年に作った国会の政治倫理綱領第四項に「われわれは、政治倫理に反する事実があると疑惑をもたれた場合にはみずから真摯な態度をもって疑惑を解明し、その責任を明らかにするよう努めなければならない」と書かれています。政治倫理綱領は、鳩山総理も、民主党も、そしてわれわれも順守しなければなりません。総理は、この綱領を順守する決意があるのかどうか、お答えください。
政治資金問題:鳩山総理の責任
民主党の小沢幹事長の元秘書である石川知裕議員が逮捕されました。今、まさしく政治家の道義、倫理感が問われています。総理、あなたも、お母様からの絶大なる友愛に満ちた、「脱税」とも言われる生前贈与の問題があります。毎月1500万円の資金援助に関し、相続税法に違背していながら、「知らなかった」として、5億7500万円の税金を支払った現状、そして、総理の元公設秘書2名が政治資金の問題で起訴され、一人は公判に入る現状について、総理はどのようにお考えですか。総理はかって「秘書の問題は政治家の責任」との倫理観を示していました。今、政治倫理綱領第四項に照らし、自らの責任を明らかにするのかどうか、お答えください。 また、総理は「国民にお詫びをする」とおっしゃいましたが、何をお詫びするのですか。お答え下さい。
政治資金問題:母親からの資金の使途
総理は、かねて「検察の処理が終わってから説明する」と言われたはずであります。多くの国民は、なお総理が説明責任を果たしていないと感じています。その要因は3点あると思います。まず、第一に、一体、お母様から頂いたとされるお金を何に使ったのか、これを明らかにする必要があります。今この場で答えられないのであれば、予算委員会の前までに調査をして明らかにするか、集中審議や参考人招致等に応じ、国会の場で説明することを求めます。
政治資金問題:鳩山総理の関与
第二に、総理は全てを秘書やお母様のせいにしていますが、本当に総理自身が知らなかったのかどうかを国民は疑っています。一時同居していた時期があったのではないかと聞きおよんでいますが、毎月、こんなに多額のお金をお母様から頂いて、総理は感謝の気持も伝えていないのですか。秘書からも、お母様からも知らされず、全て勝手にやっていたというのは、国民の常識からすると全く理解できません。総理の関与について、明確にお答え下さい。
政治資金問題:以前の生前贈与の有無
三番目は、お母様からの生前贈与は、明らかになった7年間以前にもあるはずだという疑念です。総理は、それを調べましたか。今回の対応で事足りたとお考えですか。それ以前にも政治資金に使われた生前贈与がなかったのか、そして、それらの処理はどうするつもりか、お答え下さい。
政治資金問題:脱税の疑い
これから確定申告の時期になります。総理は、自らが巨額の脱税をしたという認識はないのでしょうか。真面目な納税者からすれば、こんなことをしても重加算税が課されないのかと思っていることでしょう。総理の処理との間にギャップを感じるのではないですか。総理の考えを伺います。 併せて、鳩山総理の巨額の生前贈与について、国税庁としてこれ以上調査しないのかどうか、また、税法上、脱税が発覚した後に、あわてて税を納めれば事足りるのかどうか、菅財務大臣に伺います。
政治資金問題:鳩山総理の不適切発言
小沢幹事長を巡る問題について伺います。元秘書の石川知裕議員と秘書2名の逮捕には誰もが衝撃を受けました。ここにいる議員各位も衝撃を受けたことでしょう。総理、あなたの元秘書2名も起訴されている。こうした異常な状況の中、総理は、「こういう問題があるにもかかわらず、民主党を国民の皆さんの多くが選んだ」などと国民に責任を転嫁し、愚弄する発言をしました。また、「検察と闘う」姿勢の小沢幹事長に対し、総理は「どうぞ闘って下さい」と応じたと聞きます。どれも一国の総理の発言とは信じられません。「闘う」とは、誰と「闘う」ことを念頭に置いていたのですか。「国策捜査」であるとか「指揮権発動」といったことを言いたいのでしょうか。これらの発言の真意を伺います。
政治資金問題:小沢幹事長、民主党、鳩山総理の自浄能力
小沢幹事長を巡る問題は、虚偽記載に留まらず、公共工事の受注を巡る疑惑の報道もあり、「コンクリートから巨額政治資金へ」と揶揄する人もいます。民主党の諸君が全く口を閉ざしていることも信じられません。何よりも先に、国会の場で小沢幹事長が説明することを求めます。小沢幹事長が説明しようとしないなら、民主党として調査して説明するか、民主党代表の総理自身が小沢幹事長から聞いてお答えになるか、いずれかをすべきではないですか。小沢幹事長、民主党、そして総理の自浄能力が問われています。総理のご所見を伺います。
政治資金問題:小沢幹事長問題のポイント
この問題のポイントは、基本的に5点あると思います。第一に、土地購入代金4億円の原資は何か。第二に、報道によれば数億から十数億とも言われる複雑な資金操作をする理由は何か。第三に、購入の翌年に記載した理由は何か。第四に、購入後に融資を受けた理由は何か。そして、第五に、平成19年に、小沢幹事長が巨額の不動産が自分のものではない証拠として示した「確認書」なるものが記者会見直前に、間に合わせで作られたものとの報道がありましたが、こうした証拠書類の偽装や隠滅がないか、という点も踏まえて調査し、まさに政治倫理綱領を順守する形で、予算委員会前までに提出して下さい。そうでなければ、国会で集中審議の場を設け、参考人招致等に応じることを強く求めます。
■マニフェスト
マニフェストについて伺います。総理、まだ昨年の総選挙時のマニフェストは守らなければならない、との認識ですか。端的にお答えください。総理は、「マニフェストは国民との契約であり、必ず実現する。約束を果たせなければ責任をとる」とまで言われました。にもかかわらず、昨年、予算編成も大詰めの段階で、小沢幹事長の申し入れにより、ガソリンの暫定税率廃止が見送られました。また、民主党が強く主張していた年金記録問題解決のための予算2000億円も、900億円と半額以下になっています。さらに、財源も、マニフェストの目論見どおりには確保されておりません。民主党は当初、国の総予算207兆円の組み替えとムダの削減で20兆円ねん出すると大見えを切りました。それが、選挙では9.1兆円に半減され、その後の総理会見では7兆円となり、さらに事業仕分けでは、目標額が3兆円となり、実際に仕分けを終了してみると約6000億円、それに土地改良の予算削減などを含めて約1兆円にとどまったのであります。当初目標との差額はなんと、19兆円であります。バナナのたたき売りではありません。大変なマニフェスト違反でありませんか。そこで総理にお伺いします。今、マニフェストの達成率はどれぐらいとお考えですか。 これらの事実は、マニフェスト実現が到底不可能であることを示しております。総理は、これからもマニフェストそのものを仕分けせず、マニフェスト通りにおやりになるつもりなのでしょうか。7月の参議院選挙まで、できもしない幻想をまだふりまくつもりなのでしょうか。それは、国民に対する欺きであります。責任ある政治家の矜持を示すべきであります。マニフェストを仕分ける考えがあるのか、あるとすれば、どの点の仕分けを考えるのか、総理のお考えをお聞かせください。
■補正予算
今次の補正予算について伺います。政府は昨年、われわれ自公政権が作った一次補正予算の執行を3兆円凍結しました。この結果、二次補正を実施するまで、3か月の経済対策の空白が生じることとなったわけであります。菅大臣は当時、執行停止が今年度のGDPに与える影響はマイナス0.2%しかない、と言われました。マイナスになることを承知で凍結する考え方こそ、鳩山政権の経済への無定見さを表しております。 二次補正の需要喚起効果は、1000億円にも満たないのではないですか。菅大臣に伺います。二次補正の実施がわが国のGDPにどれだけの効果となるのか、明確にお答えください。
■22年度予算
平成22年度予算について伺います。22年度予算は、今年度当初を大幅に上回り、92兆円を超える規模に膨れ上がっております。なぜこうなったのでしょうか。全面的に組み替えると言っていた207兆円の国の総予算がほとんど削られず、子ども手当や高校無償化など、民主党マニフェスト実施のための所要額が4兆円程度増加したことなどが原因であります。この結果、過去最大の44兆円を超える国債発行が余儀なくされております。まさしく持続性のない予算と言わなければなりません。将来の財政収支はどうなってしまうのか。国民は不安を抱いております。いまだに政府が中期的な財政のフレームを示していないことは無責任であります。私は、予算審議前に是非、財政の中期見通しを提出するよう求めるものであります。総理の明快な答弁をお願いいたします。 また、地域経済の現状は大変です。にもかかわらず、景気の下支えとなる公共事業はいきなり18.3%も削減されております。総理は地域経済の現状をどう認識し、どう対処していくおつもりなのか、ご所見をお伺いします。 来年度予算に対しては、われわれはまもなくわれわれの考え方を示します。そして修正動議を提出する考えであることを申し添えておきます。
■消費税について
消費税について伺います。総理は「4年の間に消費税の増税を考えることは決してない」と断言しておられました。ここ何日かの報道を見ておりますと、菅財務大臣、仙谷行政刷新担当大臣はかなり前向きの発言を行っているように受け止められます。鳩山内閣はここでもバラバラであります。消費税について、改めて総理のお考えをお聞かせ下さい。 また政府の統一した見解と、さらに21年度所得税改正法の付則を、来年度も入れるのかどうか、お聞かせ下さい。
■新成長戦略
次に、新成長戦略について伺います。鳩山内閣の「新成長戦略」なるものは、経済成長の基本をまったく理解していないものであります。成長とは、技術革新により設備投資が促され、それが生産性向上に結び付き、所得増に結び付いていくという基本を押さえなければなりません。そこを押さえずに、具体的な手順も財源も先送りにしたまま、ただ項目を並べても現実性はありません。来年度予算では、技術革新の礎となる科学技術振興費が27年ぶりに減額されております。世界各国が政府研究開発投資を増やしている中、日本だけがその流れに逆行している状況で、これも成長戦略に対する政府の無定見と言わざるを得ません。総理は、名目3%以上、実質2%以上とする高い成長を、一体どうやって実現していかれるのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
■鳩山政権に対する国際社会の評価
1月11日の朝日新聞朝刊に、「鳩山政権が今年の世界10大リスクの5位に列せられた」との記事がありました。米国のコンサルティング会社による国際政治上の危険要因分析であります。鳩山政権は、気候変動やインド・パキスタン関係の緊張激化を上回る危険要因だ、というものであります。理由は、鳩山政権の社会主義的政策に危惧する内容で、世界的に見ると高い危険要因になっている」というもので、「参院選で民主党が勝てば、さらにマニフェストに忠実な政策を実行しようとして混乱するだろう」との予測までされているのであります。総理のご所見をお伺いします。 鳩山政権の下でのわが国の信用力に対する国際評価については、17日の日本経済新聞朝刊が、「日本のクレジット・デフォルト・スワップ取引に対する保証料率が中国より高くなった」との記事を載せております。日本国債が、国際市場では中国国債よりも危険とみられている、ということであります。やはり鳩山政権の経済・財政運営に対する危惧、経済政策の質の悪化が深刻に受け止められているのであります。この現実をどう認識されますか。総理のご所見をお伺いします。
■25%削減目標について
鳩山総理は、2020年までにわが国の温室効果ガスの削減目標について90年比25%削減という高い目標を華々しく打ち出しました。総理、90年比25%削減が、どれほど過重な国民負担となるのか、端的にお示しください。 また、先般のCOP15の合意で、先進国は今月31日までに、2020年の排出削減目標を政治的合意しなければなりません。もう時間がありません。鳩山総理は90年比25%削減の目標を約束するのですか、さもなくば撤回するのですか。できもしないことを約束しないで下さい。総理の明確な答弁を求めます。
■普天間基地移設問題について
普天間基地の移設問題について伺います。総理は「5月までに決める」と言っておられますが、何を決めるのですか。明確な移設場所を決めるのでしょうか。12月同様、決めないことを決めると、いうこともあるのですか。 また、その場所は、あらゆる場所をお考えなのですか。つまり、今の辺野古沖案も総理の選択肢の中に入っているのでしょうか。総理の所見をお伺いします。
■インド洋補給支援法案
政府は16日、海自補給艦隊によるインド洋上での補給支援活動の終了・撤収を命令しました。自衛隊諸君に対し、われわれは心より感謝し、敬意を表するものであります。鳩山総理は「政策的意義でいえば必ずしも十分な意味を持っていなかったのではないか」と語られています。わが国の命運を担った総理の発言としては、あまりにもお粗末な国際感覚であり、外交感覚であります。総理は、わが国の補給支援活動をどう評価しておられるのか、改めてご見解をお示し願います。 また、総理は、約5000億円の新たなアフガン支援を表明されましたが、「カネだけ出して汗をかかない」と批判された、20年前に逆戻りしたかのような資金援助であります。一体その中身は何であるのか、何に使うのか、お示しください。
わが党は通常国会に補給支援活動法案を改めて提出するとともに、継続審議となっている北朝鮮船舶検査法案の成立を目指します。両法案はわが国の国益に資するものであります。是非とも早期に両法案が成立するよう、この議場に居並ぶ、良識ある議員各位のご賛同を心より期待申し上げます。なお、わが党はこれらの活動を含む国際平和協力活動に関する一般法を本国会に提出することを申し添えます。
最後に、冒頭でもご紹介したように、ジョン・H・ハロウェルは、民主主義に道徳律の正当さが必要と言い、また孔子は「民信無くば立たず」と言っております。これは、政治には、国民の倫理観の信頼が一番大切であるということであります。東西、そして現代といにしえの言葉を、与野党お互いに共有し、噛み締めて国政を携わっていこうではありませんか。このことを申しあげて、私の質問を終わります。