大島理森が語る

2013年11月アーカイブ

2013.11.28
特定秘密法案採決の所感と広島高裁の参議院選挙無効判決について

 26日(火)夜、特定秘密法案が衆議院を通過し、参議院に送られました。
 私が、海部内閣の内閣官房副長官の時に、第一次湾岸戦争が起こりました。米ソ冷戦構造が壊れてから、イラクがクウェートに侵攻し、その対応をしなければならない時に、内閣官房副長官でありました。当時を振り返りますと、いつアメリカがイラクを攻撃するか、あるいは日本はどういう貢献をするのか、非常に難しい問題に直面しました。自衛隊の皆さんを「隊」として海外派遣するということは、当時は国民世論に理解されない状況でしたので、非常に苦しみました。「国連平和協力法」という法案を急遽国会に提出しましたが、廃案になったりしました。日本がどう国際貢献するかということと同時に、最大のポイントは「アメリカがいつイラクに攻撃するか」でした。私は副長官でしたから、それなりの情報は降りてきていたと思いますが、「いつ攻撃するか」という的確な情報が入らなかったこと思い出しながら法案の採決に臨みました。
 アメリカ軍の攻撃が「多分明日だろう」という想定の下に、事務方の石原信雄官房副長官と泊まり込んで対応しましたが、「なぜ情報共有が難しいか」と言った時に、私なりに考えると、やはり軍事能力を持つ組織を派遣できていないことが、本当に際立った情報が繋がらない理由の一つだったと思います。もう一つは、「日本という国はすぐ情報が漏れてしまう」という疑念、あるいは評価がされていたのではないかという思いがあります。政治、外交交渉において、防衛問題等々において、国家のために必要な最低限度の秘密というものはやっぱり守られていかないと、国益に反する場合があるという思いを持っています。
 一方において、国民の知る権利、あるいは国会との関係というものに最大限、その基本を尊重しながらこの法律の運用をしていくことが肝要でありますし、まだ成立はしているわけではありませんが、成立したとなれば、そこのところは絶対に基本としながらも、かりそめにも、時の総理、為政者の恣意で範囲を拡大させてはいいけないという思いで、この議論を見守っているところであります。

  もう一つ気がかりなことは、中国が東シナ海で尖閣諸島を含む防空識別圏を設定したことです。
それに対して、アメリカが、日本も当然であるが、抗議し、懸念を示しています。

 今のアジア情勢をみた時に、なぜ中国がここまでやってくるのか、東アジアの緊張感を高めていく非常に大きな要因になりはしないか危惧しています。日中、日韓関係の対話の糸口を見つけ出して努力していく外交が、これから来年にかけて非常に大きな案件になるのではないかと思っています。

 岡山県の参議院選挙結果が広島高裁で「無効」判決が出されました。また1票の格差問題で、衆参それぞれに司法の判断が出たことになります。
先般も申し上げましたが、我々は、三権の一つ、司法の世界から問題提起を投げつけられた、問いかけられたということは事実であります。この事実を受け止めてしっかり考えなければいけません。
 衆議院は、今の制度で20年近く、6回選挙を行なっています。私自身は、人口割りだけで日本の主権者の声をすくい上げることが果たしていいのかということも踏まえ、少子高齢化、過疎化、人口動向等を考えつつ、根本的な選挙制度改革を考えるきっかけにしてもいいのではないかと思います。その時には、衆議院、参議院の果たす役割も含めて議論することが重要ではないかという思いを持っているところです。

2013・11・21
一票の格差の最高裁判決と選挙制度の抜本改革について

 昨日、最高裁から、昨年行われた選挙に対する一つの判断が出ました。「無効ではないが、違憲状態である」という判断です。
 我々が、野党時代に定数是正という問題を当時3党で協議し、結論を得たのが、0増5減であります。最高裁判決の評価については、意見はいろいろあるとしても、私ども立法府としてこの問題に対処していかねばならないでしょう。
 かつて、海部内閣の政治改革という大きな命題があり、最終的に細川内閣で「小選挙区・比例代表並立」という選挙制度を採用して以来、20年以上経ちました。当時深く関わった1人としては、この制度に個人的には、背中に背負って今日まで来たという思いがありますが、20年を振り返りますと、定数や格差是正を踏まえて、衆議院のあるべき選挙制度を議論してもいいのではないかなという思いを持ちます。
 当時は、「二大政党」的な政治を日本に根付かせることが狙いでもありましたし、「政党本位、政策本位の政治」の実現ということもよく訴えました。しかし、選挙制度が変わる以前の中選挙区時代における政党の数と、新しい選挙制度になってからの政党の数、それも生まれては消え、生まれては消えという現状を考えた時に、また、国民の政党に対する存在意義は何なのかということを考えた時、この20年の日本政治史の政党に対する不信というものがあったのかなと思います。政権交代があったにせよ、当時官房副長官としてコミットした者としては、二大政党的選挙制度が、その趣旨とは違う現状になっていることを考えれば、根本的な問題も考えていかなければならない時期に来ているのではないかという思いを持ちます。
 但し、これをやるためには、それぞれの政党に相当集中した力が必要になります。それぞれの政党がそういう共通の思いを持たねばなりません。選挙制度、定数是正というものは、政党の生存に関わる話ですから、当然そこには党利が出てきます。私はそれを否定するものではありません。そこを踏まえながら話し合いが出来ればと思います。
 私も伊吹議長と同じで、この問題は最終的には立法府が決めることですが、第三者機関で日本の政党政治のありようも含めた審議をしっかりしてもらうということも一つの方法なのかと思います。海部内閣当時は、内閣の中に第三者機関でいろいろ議論していただいた。しかし、内閣より立法府ではないかという思いがあります。もし、そういうことをやろうとするならば、衆参のあり方も含めてやる。我々の党是として憲法改正を言っているわけですから、新しい時代における日本の二院制の役割を考えるよいきっかけになるのではないかという思いをもって、私自身が歩んできた道のりを考えながら、最高裁判決を受け止めておりました。
 国会もいよいよ終盤に入り、12月6日の会期末が迫ってきております。一方においては、予算編成等々これからあります。最近、各種の地方選挙で大変厳しい結果が出ていることを踏まえ、政治というものは、特に我々政府与党は、国民の皆さま方の声なき声をしっかり見定めながら自ら判断し、お願いしていくことが重要であると思っております。

今日の発言

2013.11.14

 フィリピンの大災害の現状を報道で見ていて、改めて、被災者に心からお見舞いと、亡くなられた方々にお悔やみとご冥福を、行方不明者が早く救出されることをお祈り申し上げます。安倍総理も素早く対応されて、東日本大震災で大変活躍していただいた自衛隊の皆さんや救助隊を派遣したりしております。是非、一日も早い救済、復旧のために貢献してもらえればと思います。

 11月11日に、福島原災事故の第三次提言をとりまとめ、総理に手交させていただきました。総理も提言をしっかり受け止めて「政府各位にしっかり取り組むように」という指示をされたようです。昨日までに、福島県知事をはじめ、県内の市町村長の皆さまにも内容を説明させていただきました。全力を尽くして、まさに一体として取り組んでいかねばならないと思っております。

 2.3日前に日本記者クラブで講演で、小泉純一郎元総理の「原発ゼロをめざして」との発言がありました。内容を一字一句存じ上げているわけではありませんが、読売新聞の「論点」に元総理がお書きになられたもの等々見ると、私は、元総理としてご発言されるのは、それはご自身の考え方としてあるんだろうと思います。ただ、「原発ゼロ政策」となってきた場合に、主張とそれを実現するための手立てについて、同時に考えを発して頂くことがよろしいのではないかと。そういうことによって議論が深まっていくこともあります。「原発ゼロ政策」というものに対して、政策として乗り越えなくてはならない大きな問題があります。それらにどう対応するかということを提言して頂かないと、議論が深まらない、という感想を持ちます。
 その一点は、代替エネルギーをどうするかということでしょう。総理の主張の中で「再生エネルギーを政策としてどんどん進めていけばいいのだ」というものがあります。しかし、水力を除く再生エネルギーは、全体の構図からすると、まだ僅か1.6%、そのために実は3.500億円の税金を使っています。この現状を考えた時に、やはり、代替エネルギーに対してきちんとした提言がないといけないのではないかと思います。
 第二点は、元総理がおっしゃるように、明日からゼロにしたとしても、国内には17.000トンの使用済み燃料が依然としてあります。この処理をどうするかということです。これは大変重要な問題であります。やはり、最終処分の問題を全力挙げて対処していかないと、むしろ放置したままでいくと大変なリスクある現状が続きます。そういうことに対する代案を示して頂かないといけないのではと思います。
 第三点は、ある意味で代替エネルギーと同じだと思いますが、日本の電力エネルギー供給源は、化石燃料が88%であります。この数字は、皆さんがお忘れかも知れませんが、約40年前の第一次オイルショックの時以上です。このまま化石燃料を燃やし続けていいのかどうか。問題の一つは、我々には資源がありません。絶えず世界の市場に振り回されているという脆弱性があります。また、何と言っても地球温暖化、ひしひし迫りくる地球温暖化に対してどう対応するのか。その点についての代案を示されることが大事ではないかと思います。
原発を明日からゼロにした場合、電力料金を含め費用負担を一体どうするのかということ等について、元総理ですから細部にわたる提言まではする必要はありませんが、骨太でよいので「こうだ」と示して頂かないと、いわゆる主張だけとしか感じられないわけであります。「イズム」で終わってしまう。私は「イズム」を持つことを否定しているわけではありませんが、元総理として非常に大きな影響力を持つ方が、今後そういう方針を主張されるのであれば、政策体系として示して頂くことが、我々後輩にとってもさまざまな議論ができるのではないかと思います。
 第四点は、「日米原子力協定」であります。この問題についてもどう考えておられるのか。一人の学者の主張であればまだしも、尊敬する自民党の元総裁・総理としてこれからもご発言されると思いますので、そういう点を我々後輩に示して下されば、議論されるものではないかと思います。エネルギー政策は国と国民の根幹に係るものです。イエスかノーという議論ではなく、議論を深め、国民の英知を結集して結論を出さねばならないと思います。
福島の原発事故災害というのは、我々に本当にいろいろな教訓を与えております。いささか哲学的な話になりますが、人類というのはいろんな困難と危機、リスクを乗り越えて進化してきたのだろうと思います。
私は、原発ゼロにしろ、原子力発電の再稼働にしろ、日本の原子力政策におけるこれからの最大の課題は、最終処分の仕組みを国を挙げて全力で取り組むことでしょう。このことが課せられているということだけは、ある意味では、小泉総理の主張の中で重く受け止めて、政府を挙げて全力で取り組んで行かねばならないという思いでおります。
 改めて、フィリピンの現状を見た時、本当にお見舞い申し上げると同時に、東日本復興加速化本部長として、福島含めた復興の加速化に全力をあげて、その経験や知見、対応を世界の方々に、ある意味では、貢献するということも、震災を経験した我々の責務ではないかなという思いです。

特定秘密法案と農業政策について

2013.11.7
特定秘密法案と農業政策について

 国会も実質審議日程があと22日間くらいになりました。本日、NSC法案が衆議院を通過し、その後、特定秘密保護法の趣旨説明の予定です。いよいよ、これから会期末に向けて、安倍政権の重要法案がいわば佳境に、並行して議論なされると思います。自公でよく連携をとりつつ、丁寧にかつ、しっかりとした体制で臨むことが肝要ではないかと思います。

 国民投票法について、今日の報道等見させていただいているが、とりわけ与党の中の緊密な連携と信頼関係が傷つかないように、ひとつひとつ丁寧にやっていくことが肝要ではないかと思います。
 特定秘密保護法については、国権の最高機関たる立法府の調査権との整合性をどのように考えるか、これは是非国会で超党派で、委員会の場もそうかもしれませんが、議運等々でしっかり話し合ってもいいのではないかと思います。国会の調査権はさまざまな規定があります。委員会でも秘密会などそういうものがあります。国会法104条そして議院証言法等の調査権が記されておりますが、そういうものとの関係を国会側としてどう考えるかということを整理しておくことが大事ではないかと思っています。
 もう一つ、政策の面で、農政改革が今話題になり、農業者の間で大変な関心持っておられると思います。昨日、農政幹部の役員会に出させていただいたが、民主党の行なった直接支払い制度の施策は、いわゆる農家所得に着目したものでありました。これは、我々が言っている、多面的機能に着目した直接支払い制度と、産業政策としての理念がごちゃまぜになっていたと思います。今般、我が党の一つの考え方として、多面的機能を維持してもらうという直接支払い制度にしつつ、それは基礎的な一つの政策目標です。その上に産業政策的側面をしっかり打ち立てていこうという、両面にわたる農政改革であろうかと思います。
 自分自身、農水相を仰せつかった時に、食糧管理制度を思い切って変えて、生産調整を国が一歩引き下がって、自主的な生産調整体制にした方がいいのではないかと思って、実現に努力したことを思い出しました。当時は、まだ直接支払い制度の基本的な考え方、理念の確立とご理解が得られない時期でした。妥協的に国が関与しつつ、若干、当時の改革案がある意味では押し戻された形になったことを思い出して議論を聞いておりました。新聞報道で「生産調整政策を止めるんだ」という言い方の報じられ方があるが、これは表現的に正しいかどうか、私は疑問に思います。むしろ、主体たる農家及び農業団体、そういう方々がもう少し主体的になって、需要と供給を考えながら、力強い中核になり得る人たちが頑張っていけるような、そういう政策に方向を向けていくということだと思います。
 だから、「両面ありますよ」と。一方では、農地に着目した直接支払い制度を根底に持ち、農村、農業地帯を守っていくと。その上に立って農業を中心にしっかりと頑張っていこうとする、多様な主体の皆さまに頑張っていただけるような方向性を強く出していこうと。同時に、「日本の宝である水田を多様に活用させていくことが、今後の世界の食糧(需給)を考えたときに大事ですよ」という内容であると思います。基本的に、そういう流れは否定されるものではないだろうと思います。
 出来る限り、例えば、政府側から出る産業競争力会議から提言されたというのではなくて、我が党が、農業政策のあるべき姿を党としても結論を出して、多くの農業者の皆さんにも理解を求めていく方がいいのかな、というような思いを昨日、申し上げておきました。そういう結論を政府にしっかりと申し上げていくことが、より責任ある自民党農政のあり方ではないかと思います。

 復興加速化の第三次提言については、今日、与党としてとりまとめを終えて、明日の自公政調会長のもとに報告して、与党内の手続きが終わるということになります。それを踏まえて、政府に是言する予定です。その後に福島県にお邪魔したいと考えております。

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